最初に作ったHealth Masterは、毎日使うための初期設計だった

Health #001では、Oura、Withings、食事や運動のデータを同じ時間軸に集め、朝と夕方にAI Adviceを受け、週ごとのTrendを見るHealth Masterの初期構想を書いた。長期保存にはObsidianも使う想定だった。

構想を作った後、Health Masterは1か月以上、実生活の中で使い続けている。この記事のために新しい実験を始めたのではない。使うたびに「ここが不便」「この数字だけでは判断しづらい」と気づき、一つ直してまた使う。その繰り返しを、現在あらためて振り返る。

一番大きく変わったのは、データの量ではない。本人が毎日実際に見て、質問して、次の行動を考えられる形へ近づいていったことだった。

1か月以上、本当に使うと初期設計はこう変わった

最初の設計 実際に使って変えたこと
定時にMorning Reportを作る Oura / Withingsの更新後に、最新状態を読みたいと考えるようになった
当日の数値を中心に見る 過去約1週間のTrendと比べて、普段どおりかを見たいと考えるようになった
Emailで知らせる 気づきにくいためLINE通知を追加した
Reportを読む iPhoneからHealth Dataについて会話形式で相談できる環境を用意した
体重・体脂肪を中心に見る 見た目の変化も把握したくなり、腹囲を追加した
数値だけを残す チートデイ、出張などのLife Event Commentも残すようにした
栄養情報を手入力する あすけんのScreenshotから栄養情報を取り込む仕組みを作った
Supplementを習慣で続ける 食生活の可視化を材料に、自分のSupplement運用を棚卸しした
Daily Dataを中心に扱う 血液検査写真やジム測定結果も長期記録へ取り込めるようにした
過去を振り返る 約1週間先のTrendを自分とChappyで予測し、実測で答え合わせするLoopが生まれた

これは完成した健康管理システムの紹介ではない。Measure → Decide → Change → Measure againを、生活の中で何度も繰り返した記録である。

Reportは「作る時間」より「最新状態を読む時間」が大切だった

最初はMorning Reportを定時に生成する考えだった。しかし、OuraやWithingsの最新データより先にReportが出る場合がある。すると、欲しいのは決まった時刻のReportではなく、更新後の自分の状態をすぐに見られるReportだと分かった。

そこで、Oura / Withingsが更新されたタイミングを意識したReport生成へ変えた。正確なTrigger実装の説明がこの記事の目的ではない。ここで残したいのは、Automationは「定時に動く」だけでは足りず、本人が判断したい情報がそろった時点に寄せる必要があった、という経験である。

同時に、当日の数字だけでは良い・悪い・普段どおりを判断しにくいことも分かった。現在は過去約1週間のTrendと比較して、本人のHealth Dataの中で現在を読む方向へ変えている。これは医学的な評価ではなく、本人の観測記録としての比較である。

Reportを作るだけでは、見ない

Email中心の通知は、気づきにくかった。そこでLINE通知を追加した。

小さな変更だが、目的はReportを作ることではない。本人が実際にReportを見ることだった。データ基盤は、見られなければ判断にも行動にもつながらない。

ダッシュボードを見るより、「今日どうする?」と聞くようになった

Cloud版Codex / AI環境からHealth Master Sheetを参照できるようにし、iPhoneから自分のHealth Dataについて会話形式で相談できる環境へ発展させた。Mi-chanも実際に使っている。

Dashboardを開いて数値を探す代わりに、「今日どうする?」と自分の言葉で尋ね、記録を参照した整理を受けられる。この便利さは、AIが診断をすることではなく、生活上のDecisionをするときに日常のデータへアクセスする入口が会話になったことにある。

大阪出張で伊丹空港に着き、昼食をどうするか迷ったとき、Takaは「伊丹空港でお昼何食べたらいいかな?」とChappyへ相談した。一般的な空港のRestaurant Recommendationだけではなく、直近の食事状況からタンパク質と炭水化物が不足傾向であること、筋肉量を維持しながら減量を進めたいという本人のContextを踏まえ、ほっけ定食にご飯大盛りという選択を提案された。

この昼食だけが、その後の結果を生んだとは言えない。出張中にGymなどの明示的な運動はしなかった一方、移動によるActivityは多かった。その後の測定は、本人が狙っていた減量と筋肉量維持の方向で推移した。ただ、「減量中だから常に食事量を減らす」のではなく、その時点の自分のデータと当日の活動を見ながら食事を決める、という使い方ができた。

Mi-chanも、昼食後に「この後どんな運動をしたらいい?」、夕食前に「夕食は何を食べたらいい?」と相談している。昼までの食事、当日の活動、身体状態などをContextに次の行動を考えるためであり、個別のHealth数値や詳細は公開しない。

体重だけでは、知りたい変化を十分に見られなかった

体重・体脂肪だけでは、本人が知りたい見た目の変化を十分に把握できないと感じた。そこでTANITAの腹囲測定器「腹囲くん」を導入し、iPhone Shortcutから簡単に記録できる仕組みを加えた。

また、数値が変わっても、後から理由を思い出せないことがある。チートデイ、出張、その他の生活EventをCommentとしてHealth Dataに残す機能を追加した。これにより、数値とその頃の生活を後から並べて見られるようになった。

Commentは因果関係を証明するものではない。「このEventがこの数値を起こした」と自動的に判断しないための、本人の記憶を補うContextである。

食事・検査・ジムの記録も、手入力のままでは続かなかった

あすけんに表示されるPFCや摂取栄養素をHealth Masterへ手入力するのは、継続が難しかった。そこで、あすけんのNutrition画面をScreenshotし、iPhone ShortcutなどからTakaが作成したAppへ送る。画像から栄養情報を抽出してHealth Masterへ保存する仕組みを作った。

詳細なCode、Shortcut、再現手順はここで扱わない。別記事の候補として残す。Health #002では、毎日扱う情報ほど「正しく入力できるか」だけでなく「入力を続けられるか」が設計を変えた、という事実だけを扱う。

同じ考え方で、血液検査結果の写真とジムの測定結果も、Health Masterへ長期記録として取り込めるようにした。個別の検査値や医療上の判断は公開しない。これは医療診断ではなく、散らばった本人の記録を後から参照できるようにするCaptureである。

食生活を見た後に、Supplementを棚卸しした

Daily diet captureによって、普段の食生活でどの栄養素が不足傾向なのかを以前より確認しやすくなった。それを材料に、本人が摂取していたSupplementを棚卸しし、半分以下へ整理した。

これはAIが医学的な必要性を判断した結果ではない。治療効果を示す話でも、他の人にSupplementの中止を勧める話でもない。食生活を可視化し、自分の運用を改めて見直したというDecision Processである。

Takaの予測とChappyの予測を、実測で答え合わせする

特に気に入っているのが、約1週間先の体重TrendなどをTaka自身とChappyで予測し、後から実測と比べる機能だ。

Takaが「自分にはこういう過去Patternがある」とContextを渡すと、その後の予測に反映される。これはAIが本人を自動的に学習したという意味ではない。本人固有のPatternを、次の予測で参照できるContextとして明示した結果である。

予測は正解を当てるためだけのものではない。予測が外れたときに、何を見落としていたかを考える入口にもなる。将来は予測誤差を定量的に評価するExperimentも考えている。

自分なら何を自動化すべきか見つけるChecklist

Health #002で、この仕組み全体を再現する必要はない。まず、現在すでに測っているものの中から、摩擦が大きい一点を見つける。

  • 毎日手入力しているものは何か。
  • Reportを作っても、本人は実際に見ているか。
  • 今日の値だけを見て、普段との違いを判断しようとしていないか。
  • 数字が変わった理由を、後から説明できるか。
  • Dashboardを開かないと、自分のDataについて質問できないか。
  • 定期的な検査結果やジム測定結果が、別の場所に散らばっていないか。
  • 一つだけ自動化または記録を改善するとしたら、次に何が最も続きやすくなるか。

まだ完成ではない

Oura、Withings、ChatGPT / Codex、LINE、Obsidian、あすけん、iPhone Shortcuts、現在のImplementationは将来変わり得る。Health Masterも、最初に完璧に設計したものではない。

長く残したいのは、健康データを集めること自体ではなく、実生活で使い、不便を一つずつ直し、本人が見て質問して次の行動を考えられる仕組みへ変えていくことだ。

番外編として、自分の写真から目標体重・体脂肪になった場合のイメージをChatGPT画像生成で作り、Motivationに使う試みもした。これは現実の将来容姿を正確に予測するものではなく、Health Master Coreとは別の実験として扱う。

次に深掘りするもの

Health Masterの各変更には、それぞれ別の記事にできる論点がある。次は、あすけんScreenshotからPFC・栄養素を自動登録するCaptureを、再現方法を含めて検証する候補としている。